今回のサロンは港区芝にあるERCO TOTOのオフィスをお借りして行われました。
いつもとは違った雰囲気で行われたサロンは街歩き、東京調査、2つの国際照明見本市、キャンドルナイトの報告という盛りだくさんの内容となりました。
■箱根街歩き報告「夜のあじさい号」
6月28日に行われた箱根街歩き「夜のあじさい号」の報告が行われました。
「夜のあじさい号」とは、ライトアップされたあじさいの中をあかりを落とした電車で走り抜けるという、この季節ならではの特別列車です。この「夜のあじさい号」に乗るべく、探偵団一行ははるばる箱根まで行ってきました。
10分間ほどの映像と団員の皆さんが撮った写真が紹介され、暗い車内と闇夜に浮かぶ美しいあじさいがとても印象的でした。
■東京調査報告 日本橋川・隅田川
6月7日に行われた東京調査in日本橋川&隅田川の報告が行われました。
隅田川にかかる個性的にライトアップされた橋も印象的でしたが、久保団員の堤防に着目した報告から、見た目の華やかさだけではなく水辺を快適に歩けることの大切さに改めて気付かされました。また、谷川団員の報告からは、日本橋川の上を通る高速道路の高架の影響で、ライトアップされた日本橋を観る視点がないという現状が紹介されるなど、今回の調査報告には考えさせられることばかりでした。
■Light+Building2006調査報告
4月末にフランクフルトで行われた世界最大の国際照明見本市、Light+Building2006の報告が岡本団員より行われました。丸2日かけても回りきれないという見本市のスケールにも驚かされましたが、同時期に行われていた街中を光で彩るライトアップイベントluminaleの報告がとても興味深いものでした。中でも57台の投光器によって20万lxもの明るさを再現したという空間が特に印象的で、一度は体験してみたいと思わせるものでした。
さらにERCO TOTOの中村団員からはLight+BuildingでのERCOの展示風景やコンセプトが紹介されました。どの写真にも必ず写っている鮮やかな黄色の花(世界中のERCOのオフィスには必ず置かれている花だそうです)がとても美しく、印象的でした。
■Lightfair International2006調査報告・シンガポール照明実験報告
面出団長からは5月末にラスベガスで行われたLightfair International2006の報告が行われました。先に紹介されたLight+Buildingとの違いが比較しやすい構成だったので、興味深く聞くことが出来ました。
また、シンガポールでは交通量の多い交差点の横断歩道に映像をプロジェクションするという計画が進められており、その実験風景の紹介も合わせて行なわれました。街の一角を変容させる抽象的な光の表現は、写真で見ても十分にエキサイティングな風景でした。今年の11月には実現するそうなので、シンガポールに行かれる機会のある方は、実際に体験してみて下さい。
■キャンドルナイト@Omotesando - Eco Avenueの報告
最後は6月21日夏至の日に表参道で行われたキャンドルナイト@Omotesando-Eco Avenueの紹介です。キャンドルナイトは「でんきを消してスローな夜を。」をスローガンに毎年夏至と冬至に行われているイベントで、照明探偵団としての参加は今回で6回目。サロンではキャンドルのあかりで演出されたカフェや大学生らによるキャンドルインスタレーションなど当日の風景が紹介されました。中でも自作キャンドルを手に薄暮の表参道を行進する小学生の笑顔がとても印象的で、当日の楽しそうな雰囲気が伝わってくるようでした。(小川祐樹)



2006年10月17日 青山 D's Labo AOYAMA
■ D's Labo AOYAMA
今回のサロンは大光電機株式会社さんのご協力で、青山にあるD’s Labo AOYAMAをお借りして開催することが出来ました。閑静な青山の住宅街の一角にあり、地下に下っていくとまるでインテリアショールームのような会場で、落ち着いた雰囲気の中、サロンを行うことが出来ました。
■街歩き報告〜in 三渓園〜
10月6日に行われた「月あかりの庭‐横浜・三渓園‐」の報告を、団員の永津、服部から発表しました。三渓園の観月会は夜に園内の様々な箇所がライトアップされ、晴れれば三重の塔の真上に月が浮かび上がります。その月光で照らされた園内に身をおき、自分たちの様々な視点で月明かりと闇を洞察する、という予定で行われました。しかし、当日は不運にも嵐の中の街歩きになってしまい、月明かりどころか園内を回ることさえ困難な状況のため、室内で月光の写真を見たり、面出団長による和のあかりの歴史についてのレクチャーを聞いたりして過ごしました。事前の下見で撮影した三渓園の写真にはとても綺麗な月と三重の塔が写っていて、これには会場の団員たちから「これを見たかった・・」という溜息が聞こえてきました。今回のサロンでは服部団員から月に関する、知っているようで知らない様々な知識が発表されました。皆興味津々に聞きいっている様子でとても勉強になる内容でした。
■国内調査レポートin 広島
8月5〜7日にかけて永津、小川団員が広島のあかりの川・平和祈念式典の灯篭流しと、厳島神社の調査をしてきた内容が発表されました。厳島神社では通常地上からの参道を歩いて向かって行きますが、海岸に面して石灯篭が並んでおり、干潮時には大鳥居の下を歩いて通ることができることもあって、海からの景色が印象的な神社で、夜はとくにその様子が期待されたようです。
しかし、大鳥居や本堂のライトアップはのっぺりとした平面的なライトアップで、世界遺産の神社なのに、夜の景観が美しくない、と調査した団員は少々がっかりした様子でした。
平和祈念式典では、朝の8時から式に参列して式典の重みを感じ、灯篭流しがただのイベントではないことを再認識していました。原爆ドームをバックに灯篭流しが行われ、様々な気持ちを込め蝋燭に火を灯し、風と波に揺られながら流れていく。とても綺麗な光景でしたが、背景にある街の車道灯のグレアがひどく、優しく暖かい光が見えてくる景観を考えていかなければ、と感じていたようです。
■ 海外調査in台北
8月15〜18日にかけて行った、TAIPEI 101でも有名な台北の調査報告を山本団員が発表しました。TAIPEI101は508メートルもあり、地上101階、地下5階からなっています。このビルは現在世界一位の超高層ビルで正月になるとビルから四方に向かって花火が上がります。まるでビルが爆発しているのではないかと思うような写真が紹介されました。TAIPEI101の周りには高層ビルが無く、ビル自体のデザインが逆台形であるために、あまり高い建物だということが写真からは感じられません。また、TAIPEI101から撮影した夜景写真を見ると、台北の街ではビルよりも道路の光が強く見えてくるのがわかります。日本だと道路の光よりもビルの光が目立つことが多いですが、台北では騎楼と呼ばれるアーケードが歩道を隠しているため、車道の軸線が夜の景色に光の線を描いているのだと山本団員は分析していました。全体的にはとくに目立った建物も少ない開発途中の街で、照明デザインとしては大雑把な演出が多かった様子でした。(永津 努)



街歩き2006
2006年3月20日
探偵団日本橋川・神田川に挑む!!
今回照明探偵団は26名の団員と共に、東京の急速に進む開発とともに閉ざされていった日本橋川、
神田川を一隻の船に乗り込み調査に入った。明るさが蔓延する東京の中にあって、今尚闇が残された場所。団員達は高
まる好奇心を抑え、闇に潜入したのであった・・・
■人工の闇
新宿、渋谷、銀座‥‥今まで東京の夜といえば、漠然と明るいなあというイメージしか
持っていなかった。どこに行ってもモノが溢れ、それの数だけ光もある。まるでおばさんたちの井戸端会議の様にワイワイ、ガヤガヤとう
るさい光が溢れている。しかし、今回日本橋川と神田川を調査したことで、東京夜景のイメージが変わった。たくさんの“闇”の存在の発見だ。
“闇”といっても単なる暗闇ではなく、橋や首都高、ジャンクションなど、人間の手によって造り上げられた“人工の闇”だ。とくに船で橋桁を
くぐり抜けるときは本当に真っ暗だった。東京にもこんなに暗い場所が残っていたということを実感した。闇という言葉にあまりいい印象は無い
ものだが、今回の闇の体験は刺激になった。日頃、夜になっても明るい場所で過ごすことが多い分、むしろ暗い場所を無意識に求めているのかも
しれない。今回こうした“闇”に出会えたからこそ、東京の夜がどれほど明るいものなのかを改めて感じることができた。自分自身が照明デザイ
ナーという、光で空間をつくり上げることを仕事にしているので、光で溢れる東京を変えていきたいという想いを新たにした。
■闇の中に光アリ
当たり前と言えば当たり前なのだが、暗いところほど光の効果は出やすい、ということを再発見する。湘南工作所さんからお借りしたキセノンラ
ンプで、船の上からいたるところを照らし上げてみたが、実に面白かった。水面を照らせば川縁に波紋が写り込み、橋桁を照らせば一直線に伸び
る光があたかもスパイ探しでもしているかのようだ。
4本の高速道路が合流する江戸橋ジャンクションでは闇と光が交錯して見物だった。車両の光が曲がりくねったジャンクションの高架下に映り込み、
きらめいていた。普段とは違う視点から街を見ると、見たことの無い光と出会うことができる。
(窪田 照彦)
■三様の競演者
日本橋を掻い潜って神田川に出ると、そこには高く聳え立つお堀がある。お堀というと、圧迫感があって光が差し込まない暗いイメージがあるが
、ここは違う。むしろ、このお堀こそが神田川に心地良い闇をもたらしている。とくに闇がその力を発揮している場所が聖橋周辺だ。神田川を下
っていき、ふと上を見上げると電車が流れ星であるかのように走り、私たちが乗った船を導いていく。誘われるように進んで行ったその先には、
間接照明による上品で高貴な光の衣を纏った聖橋が、心地良く私たちを迎え入れてくれた。これは私の目の錯覚ではなく、周囲を優しく包み込む
闇の存在がそういった雰囲気を醸し出していた。ここにはmoving light , elegant light, soft darkness。この三様の競演者達のハーモニー
が確かに存在していた。
■やっぱりアキバ
暗い川を下って来た後に出会う秋葉原の光に驚かされる。交通博物館には明治時代に建てられたレンガ造りの壁面があり、ライトアップされた
レンガの色合いが時代の深みを感じさせてくれる。そう思って反対側に目を遣ると、今度は秋葉原電気街のジャンクな欲の固まりのような光が、
これでもかこれでもかと主張してくる。この光は川から見ても強烈な眩しさを感じるほどだ。このような新旧の建物が入り混じる街が増えていく中で、
たくさんの種類の光をどうやって調和させるかも、今後の大きな課題になっていくだろう。
■別世界
今回の街歩きで、日常ではできない非常に面白い体験ができた。川から見る景色は、地上より低い位置から見上げるものが多くあって、
普段見ている景色とは別世界だった。とくに驚いたのは、普段街を歩いている時には眩しく、時に暴力的に感じる光が、嘘のように静か
だったことだ。川から見上げるとそこには光がうごめいているかのようだったが、強い光が直接川に差し込むことはほとんどない。川面に
いながらまるで水面下のように穏やかで心地の良い闇を感じることができた。
(永津 努)



2006年6月28日 箱根登山鉄道『夜のあじさい号』
■あじさいが彩る幻想的な夜
世界には、150種類余のあじさいがあって、土によって花の色もさまざまに変わるらしい。
新宿からロマンスカーで、約90分。途中で豪華・駅弁を頬張りながら、箱根湯本〜宮ノ下〜強羅間を走る『夜のあじさい号』に乗るために行ってきました。
普段は煌々と明るい車内ですが、あじさいを見るため車内を暗くするというあじさい電車。今回は、あじさいの開花が遅れ、残念な箇所もありましたが、ホタルの光が飛び交う光景に出会ったり、登山鉄道の車掌のアナウンスが可笑しかったり、団員の笑顔がたえない調査でした。
あじさいのライトアップポイントで『夜のあじさい号』を地上から観察する3チームと電車の中から観察する1チームに分かれて、計4チーム24名の照明探偵団員が参加して調査を行いました。地上からの3チームは、それぞれ[1]大平台周辺、[2]宮ノ下駅、[3]彫刻の森周辺です。
[1]大平台周辺
今回、あじさいの花が一番見頃だったのが大平台です。トンネルの上から、丘の途中から、無人の踏み切りから各自構えての撮影大会となりました。
[2]宮ノ下駅
唯一あじさい号が10分ほど停車し、線路に降りて観察できる宮ノ下駅では、赤や青、緑のカラーライティングが見られました。
[3]彫刻の森周辺
まだ二部咲きといったところでしょうか。無人踏切では、電車に詳しそうな方と遭遇しました。残念だったのは、床置きで、電車からは死角となる位置に器具があるのですが、あちらこちら向いているライトアップの照明器具のグレアが私たちの写真撮影に影響を及ぼしたことです。フードやルーバなどで、配光を制御すれば、より目に優しく綺麗なあじさいが楽しめるのではないでしょうか。また残照のある時間帯には、ほんのりと色付いた花が下からライトアップされて劇的な演出のように感じられましたが、闇が深まるにつれて、おどろおどろしい表情へと変化していきました。
[4]あじさい号車内から
いつも明るいはずの電車が暗い!暗い車内では、ライトアップの光が入り込むと荷物置きの網が面白い影を天井に映し出しました。明るい車内では、そんな影が出ることはもちろん無いし、人の顔が平坦な表情に見えてしまうこともしばしばです。初めて見る暗い車内が気持ちを高揚させていきます。
「季節はずれのイルミネーションではありません。」という車掌のアナウンスを耳にして、闇の電車内から私たちが目にしたのは、幻想的なホタルの光でした。驚きの余り、涙が出そうなほど感動的な世界が車窓に広がっていました。
2006年のあじさいライトアップは既に終了していますが、来年も行われると思います。是非、あじさいの幻想的な夜の景色を味わいに足を運んでみて下さい。(上田夏子)
あじさい電車HP:
http://www.hakone-tozan.co.jp/ajisai/index.html
新宿から箱根へ。夕暮れ時にあわせて新宿を出発。ロマンスカーの車窓から変わり行く景色を楽しみながら、今回の照明探偵団の街歩きは始まった。
夜のあじさい号の出発に合わせて到着し、私たちは今日の目的であった夜の登山電車に乗り込んだ。
この季節、あじさいは美しく箱根の山を彩る。登山電車から観られるあじさいを夜も楽しめるように、ということでライトアップが始まったという。電車が動き出すと車内の明かりが落とされ、あじさいをライトアップしているポイントに到着すると車内は真っ暗になり、光に照らされたあじさいが私たちの目を楽しませてくれた。山間の暗闇を行く電車はそれ自体よいものだが、普段は体験することのできない真っ暗な車内から外の光を感じるというのも素敵な体験だった。宮ノ下駅に到着すると、一番ライトアップに力を入れている場所があり、乗客も一旦そこで外に出て記念撮影をする場面もあった。
団員からは、「下からあじさいを照らすと、光源がまぶしくて目を刺してしまうので、上から照らしたほうがよいのでは?」、という意見も聞かれた。また、「ライトアップのポイントを作るのもよいが、電車にライトをつけて照らしながら走れば全ての花を観賞できるのではないか。」といった意見や、「電車が終点に到着する際、真っ暗な状態の車内を突然蛍光灯の明かりで照らすのは少し唐突だった。徐々に明るくするなどの工夫があればもう少しゆったりと電車から降りられたのではないか。」との意見も。
夜のあじさいは照らし方次第でさまざまな顔を見せてくれる。山間に咲く花を一番美しく照らすのが太陽であることは否めないが、ライトアップにもさまざまな工夫の余地があることを実感した街歩きだった。(向田麻衣)
■嵐の三渓園
総勢22名の団員は電車とバスを乗り継ぎ、16時頃三渓園に到着。三渓園は、京都や鎌倉など日本各地から移築された重要文化財建造物12棟を含む、17棟の建築物が、広大な敷地の起伏との調和を考慮して配置された開園100年の由緒ある日本庭園だ。この日は、十五夜に合わせて夜間の入園が可能となっていた。ところがこの日の午後、運悪く伊豆諸島沖で停滞していた低気圧が発達。遊覧するにも一苦労の暴風雨となった。当然園内には団員以外は見当らなかった。傘を裏返され、下半身に雨水をたっぷり含ませて、園内を回ること小一時間。最初は常軌を逸した状況に興奮気味だった団員の顔にも疲労が見え始め、日没にさしかかった頃に月夜の庭園を諦めるのだった。
■探偵団初の緊急企画
自然の厳しさに、探偵魂と体温を低下させた団員は、鶴翔閣へと集った。鶴翔閣は園内にある茅葺き屋根の住宅建築で、三渓園の主、原三渓の邸宅だったものが一般にも利用できるようになった施設で、岡倉天心、横山大観といった芸術家が創作のために泊り込んだというなんとも文化的な場所だ。団員達はまず、大正独特の和風ロマンを感じる部屋で、空腹を満たした。当初の計画では、食事後に夜の庭園を撮影する予定だったが、天気はこのありさま、満月の光を期待できるわけがなかった。そこで、事前に三渓園を下見したときに撮った写真のスライドショー、「月光」というテーマで写真を撮り続けている石川賢治という写真家の作品映像、さらに面出団長による「日本のあかり」と題したレクチャーの3本立てのメニューをもって緊急企画を催すことになった。この緊急企画は、このような事態を予想して準備されたもので、部屋の真っ白な漆喰壁にプロジェクションして行われた。そうして、なんとか波乱の街歩きは終焉を迎えたのだった。
三重塔に寄添う月
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■日本建築と月
実は、下見の時も優れた天気ではなかった。しかし、夕刻が過ぎる頃、見計らったかのように雨雲は消え、そびえ立つ三重の塔に添うように月が出現したのだった。歓喜余って激写したのが右の写真だ。この時は満月ではなかったが、やはり日本建築と月はコーヒーと煙草のように相性がいいと思った。観月という行為が日本独特の風習であることからも分かるとおり、日本建築もまた月と深く結びついている。多くの寺院や楼閣に観月台があり、桂離宮は月の出る方向を消失点に遠近法を用いて設計されたと言われている。また、龍安寺石庭や京都御所の庭など、多くの庭園の砂に反射率の高い白砂を用いているのも月との相性だと考えられている。三渓園は周りが山に囲まれており光害がほとんどなく、肉眼で見える月の明るさは都会で見るそれとはわけが違った。とりわけ、夜間に油を灯して得られる明かりだけが頼りだった時代、月光は多くの人を魅了したに違いないと思うのだった。そして、月光鑑賞に優雅な悦びを覚えるという日本の文化に感覚の豊かさを感じたのだった。(服部祐介)
