City Walks and Salon




研究会・サロン2005

2005年4月5日 渋谷 照明探偵団事務局



学生から照明のプロまで、たくさんの参加者が集まって、皇居の街歩き、札幌・福岡の都市調査報告、そしてアラスカのオーロラ調査についての発表などが行われました。

■皇居街歩き
3月25日に行われた東京の中心・周囲約5kmの皇居街歩きの様子が報告されました。
参加者は2チームに分けられ、二つのルートを調査しました。青チームのメンバー、岡本賢さんと、小川祐樹さんは皇居沿いに靖国神社から竹橋を通って東京駅へ至るルートを、明るさと暗さのコントラストがわかる写真を見せながら説明しました。黄色チームのメンバー、早川亜紀さんと中山レイチェルさんは、月に照らされたお堀や日本武道館、国会議事堂、東京タワーのイルミネーションなどの写真を見せながら、もう反対側のルートの印象について語りました。

■アラスカオーロラ調査
団員の上田夏子さんと窪田照彦さんは、アラスカのオーロラを撮影した素晴らしい写真で参加者を圧倒しました。スクリーンに映し出された緑の光は、寒く暗い夜に自然が織り成すショーを自分たちも見ているような気にさせてくれました。

■都市照明調査 札幌・福岡
昨年12月に、都市照明とクリスマスイルミネーションの調査に奥中顕子さんが札幌に行きました。テレビ塔から街を俯瞰した写真は、日本では稀なグリッド状の街路を示しています。雪で覆われた屋根は夕方の空の光を映し込んで、街を美しいブルーの色合いに染めています。クリスマスイルミネーションは大通り公園を祝祭空間に仕立てている。

■マックスレイ製品紹介
照明メーカー・マックスレイさんがムードライトという新しい“ヒカリモノ”の紹介をしてくれました。この面白いLED製品は部屋を虹色に染めて、参加者を引き付けていました。製品にはワインクーラー型、キャンドル型などがあって、パーティー用に持って来いなのではないでしょうか。




2005年7月28日 渋谷 照明探偵団事務局




■NYライトフェア2005の報告
4月にNYで開催されたライトフェアの報告が行われました。毎年アメリカで開催される展示会なのですが、欧米系の大手メーカーの中には出展を控えるメーカーがあるという一方で、アジア企業のブースが年々増えてきており、アワードを受賞した企業もあるとのことです。ブース以外にもその他、新製品を取り上げて発表するトレードショーや、会場外で行われたパーティについても報告されました。私もこのフェアを訪れた一人なのですが、これまでに何度もフェアを訪れている永田恵美子団員からの報告は、初めての私では気づかないことが盛りだくさんの大変興味深いものでした。永田団員の報告が前回の探偵団通信に掲載されていますので、見逃した方は是非ともご覧ください。

■銀座街歩きの報告
銀座の光って何だろう。それを探るべく4つのグループにわかれての調査となった銀座街歩き。サロンでは各グループからの調査報告が行われました。 まずは晴海通りから。晴海通りは交通量の多い幹線道路のため、車道面の明るさを確保するべく、高さのあるポール灯から煌々と照らされていること。歩行者を意識した照明とは言えないようです。 次は中央通り。多くの店が立ち並び、ショッピングを楽しむ歩行者が多いこの通りには、ガス灯のなごりを残すクラシックなデザインのポール灯が立っているのですが、ランプが直接見えて眩しいとのこと。通りをまっすぐに見ると袖看板や屋上の広告の多さが目に付いたことも報告されました。 そしてみゆき通りと花椿通り。みゆき通りは、天皇の往来があったことが名称の由来になっており、天辺に金の鳳凰が乗っている街路灯が大きな特徴となっているそうです。花椿通りではグレアカットの施されている街路灯により、他の通りよりもやや暗い印象を与える中で、資生堂ビルのファサードが存在感を持っているとのことでした。 最後に並木通り。この通りは4丁目を境にポール灯に新旧2つのデザインが見られたとのことですが、どちらのポール灯も拡散型で眩しいもののようでした。 各グループからの報告の後、面出団長からもひと言。「銀座の光を代表するものはやはり袖看板や屋外広告塔だと言えるのではないか。しかし、ここ最近ではファサード全体が光を放つような建築が増えてきている。もしかしたら、近い将来、銀座の光を語るキーワードが“ファサードの光”にかわるかもしれない。」みなさんはどう思われるでしょうか。 これまでとは少し異なった街歩きの報告で、サロンも今までとは一味違ったものになりました。それぞれが見てきたものを報告し、意見を交し合う貴重な時間になったのではないでしょうか。

■キャンドルナイト2005夏至の報告
遠藤美希団員からキャンドルナイトの報告が行われました。今回は地元の小学生との交流もあり、そこに住まう人たちとも関わりあえる活動だったそうです。当日の様子を映した美しい映像から、満足感や充実感が伝わってきます。どんどんその輪が広がっているこのイベントなのですが、報告を聞いた団員の中からまた新たな参加者が生まれるかもしれませんね。




2005年11月17日 (株)遠藤照明 青山ショールーム






今回のサロンは少しいつもと気分を変えて、2005年7月にオープンした(株)遠藤照明の青山ショールームをお借りして行われました。  
秋葉原街歩き報告、国内調査レポートとして長崎と横浜、海外調査レポートとしてアメリカ/ダラス・フォートワース、そして8月にバリで行われたライトアップニンジャ、9月にニューヨークで行われたTransnational Tanteidan Forumの報告など盛りだくさんな内容となりました。  
いつもより広い会場に質問や意見が飛び交い充実した報告会となりました。   

■長崎と横浜の国内調査報告
はじめに中山レイチェル団員から7月に行われた長崎の調査報告です。「長崎は、ちゃんぽんな街として有名ですが、照明もちゃんぽんでした。」と稲佐山からの写真が紹介されました。  
永津努団員と山本幹根団員から、身近にあって、なおざりにされがちな関東圏・横浜の調査報告が行われました。昼と夜の表情の違いが、豊富な写真とスケッチにより、紹介されました。

■ダラス・フォートワースの海外調査報告
平岩洋介団員は、「ライティング・カウボーイ」と題し、アメリカ・テキサス州にあるダラスとフォートワースの調査報告を行いました。
テキサスの熱い日差しをカットする熱反射ガラスに覆われたビル群が、エッジライトの目立つ特徴的な夜景をつくり出しています。
フォートワースにある、有名なルイス・カーンのキンベル美術館に隣接して2002年に設立された安藤忠雄氏のフォートワース近代美術館。壁面を照らす照明計画により、水盤に建築の映り込む写真が紹介されました。  

■秋葉原街歩き報告
村岡桃子団員、ほかから11月に行われた街歩きの報告が行われました。クロスフィールドやつくばエキスプレスの開通など目覚しい開発途上にある秋葉原ですが、電気街のファサードも健在です。3チームに分かれて、ひとつひとつ丁寧に巨大看板をつけたファサードを撮影し、記録した巻物が制作されました。前回の街歩きに調査した、銀座のファサードと比較が行われ、会場を唸らせました。  
また街歩きに参加した西土映子団員から感想が述べられ、川瀬さや香団員から、ディスプレイやファサードの一端をグラフィックに面白く切り取った写真が紹介されました。 
各チームが調達したヒカリモノの紹介では、街の電気屋さんにあまり見かけない小物のライトが注目されました。

■ライトアップニンジャ@Baliの報告
岡本賢団員と上田夏子団員から、8月に行った世界照明探偵団のイベント・ライトアップニンジャ@Baliの映像が報告されました。  
バリ島では乾季の風物詩として、大きな凧をチームでどこまで揚げられるかを競い合うカイトフェスティバルがあります。照明探偵団と武蔵野美術大学の学生は、その大凧にインスピレーションを受け、それぞれ自前の光る大凧を制作して遠征しました。
大成功した光る凧揚げワークショップに続き、現地で行われたケチャダンスワークショップでは、50名のダンサーが照明探偵団の用意したLEDやサイリウムを身に付け興奮の舞踊を魅せてくれました。腰巻一枚と光る腕輪を身に付けたダンサーに会場も釘付けとなりました。

■Transnational Tanteidan Forum in NYCの報告 
世界照明探偵団(www.tanteidan.org)が1年に一度集まる世界大会が2005年にNYCで第4回大会を成功させました。田沼彩子団員から、ニューヨーク大会の映像が報告されました。  
今回は、“Lighting for Main Street(s)"をテーマに、ニューヨーク、ハンブルグ、ストックホルム、コペンハーゲン、シンガポール、東京の照明探偵団6支部から、それぞれに個性的なプレゼンテーションが行われました。 2006年の秋には第5回大会がシンガポールで行われる予定です。 (上田夏子)  




街歩き2005

2005年3月25日  皇居周辺 東京に残された巨大な闇





月明かりが印象的な早春の夜、我々探偵団は「東京に残された闇」を探るため、皇居周辺を調査しました。約20名の団員が九段下駅に集合し、まず初めに向かった先は靖国神社。オレンジの光で照らし上げられた巨大な鳥居が、遥か西にわずかな赤みを残した空を背景に、堂々とそびえ立っていました。

靖国神社をでると、団員一行は稲葉団員を中心とする黄コースと、面出団長を中心とする青コースの二手に分かれて光の調査を行いました。黄コースは皇居の周りを左回り、青コースは皇居の周りを右回りに回るコースで、ちょうど反対側、丸の内方面に位置する和田倉噴水公園をゴールとしています。

私の回った青コースでは出発後、早速コースを逸れて花見で有名な千鳥ケ淵へと向かいました。ここにはまだ桜の気配はなかったものの、上向きの照明が開花に備えて既に設置されていていました。
コースに戻り九段下交差点へ向かって進んでいくと、昭和館が見えてきました。金属的な建築表面に施されたライティングは、程よい暗さを確保していて、皇居周辺の暗さへの配慮が感じられました。

また、昭和館とは対照的に皇居へ向かって圧倒的な光を放っていたのが、平川門の正面に位置する新聞社でした。新聞社の窓から放たれる光は白川門や辺りの道路を煌煌と照らし、ここまでの暗さとの対比もあってか非常に明るく感じました。しかし、ここで改めて皇居の方を見ると面白いことに気がつきました。それは実際に明るくなっているのは、平川門の白い漆喰壁の部分や石垣の部分だけだということでした。その周辺の木々や水面は強い光を受けつつもなお闇であり、ここに東京に残る闇を解明する糸口を見つけた気がしました。皇居周辺の木々や水面は周囲の光を吸収する存在、いわば都市の光に対するブラックホールとして働いているといえるのではないでしょうか。

一行は更に進み、大手門の前までやってくると、ここにも光と闇の面白い空間を発見しました。この場所で大手門を背にして丸の内方面を見ると、極めて都会的な夜景が広がっているのに対し、真後ろを向くと、まるで都会とは結びつかないような闇の中の大手門が目に入ってきます。全く同じ視点から見ることのできる光と闇の相反する光景は、都市の中の皇居を象徴的に表しているようでした。

最後の見せ場はゴールの和田倉噴水公園です。ここでは噴水に当てられた照明がとても美しく印象的でした。ここにある光源は全て水を照らすためにあるようで、水が光の柱や壁となってあたりを夢幻的に照らしていました。

恒例の懇親会では黄コースの団員とも合流し、おいしいベトナム料理を食べながら、互いのコースで撮った写真の紹介や、他愛もない話に花を咲かせました。初春の夜風にいつの間にか冷えきっていた体は、にぎやかな雰囲気とともに暖まり、楽しい夜を過ごすことができました。





2005年7月12日 銀座 新しい銀座の光




最近の銀座では、シャネルやヴィトン、ディオールなど、ファサードに特徴を持った建築が多く見受けられる。それらの光がどのような特徴を持ち、どんな表情を見せてくれるのかを探ることを目的に、我々照明探偵団は調査を行うことにした。今回は、数ある通りの中から、銀座通り、晴海通り、並木通り、みゆき通り、花椿通りの計5つの通りを比較する為に、4つのグループに別れて調査した。

■銀座通り
銀座通りは、特に変化の著しい通りではないだろうか。シャネル、カルティエ、ヴィトン、オペークなどのブティックは、どの店舗もファサードを通して個々のアイデンティティーをアピールしている。人通りが多いことや、人目につきやすい場であることも理由として挙げられる。 道路が周囲に比べて少し明るめのグレーで塗装されていることもお気づきだろうか。アスファルトのような明度の低い色は、光の路面反射率が低く、実際に照度が確保されていても暗く感じてしまう。他の通りと比べてみると、銀座通りは明るく感じる。

■晴海通り
晴海通りの特徴はネオン広告が数多く存在することだろう。通り沿いのディオールやエルメスのファサード意匠も、銀座通りのブティックと同じく、それぞれの特徴が印象に残るが、建築上部にネオン広告が多いので、通りは広くとも自然と視点が上にいく。しかも広告は光の色が変化したり点滅したりと、単に輝いているわけではないので一際存在が目立つ。 以前に照明探偵団ヘリコプターツアーで上空から銀座の街を眺めたときにも、ネオン広告が非常に輝き目立っていた。

■並木通り
並木通りは、晴海通りを境に1町目〜4丁目と5丁目〜8丁目の二区間で、街路灯の意匠が異なる。共にメタルハライドランプ250wで、白い光が続く。

■みゆき通り
みゆき通りは、もとは天皇が浜離宮などに赴かれる道筋で、御幸(天皇の外出・旅行の意味)、が名称の由来になっている。街路灯は他とは異なり、天辺に金の鳳凰の装飾が施してある。通りは狭いが、街路灯のデザインが特徴的だ。

■花椿通り
銀座通りとの交差点に建つ銀座資生堂ビルは、この通りの中で存在感がある。ファサードの色と磨きのかかった質が明るい銀座の街を映し出し、高級感が漂っている。




2005年11月9日 秋葉原 変容を遂げる電気街とその光

最近巷を席巻している“萌え〜” の発祥の地、秋葉原。 オタク都市としての注目が高まる一方で、積極的な開発 が進行中です。都市の大きな変容を予感させる秋葉原 の過去と今と未来の混在の中に、ひかり萌え探偵団は 何を見て取ることが出来たのでしょうか。





■新興開発スポットとジャンクマーケット
JR 秋葉原駅電気街口に集合した探偵団は、手始めに2005年の春にオープンしたダイビルに向か いました。IT 関連産業の世界的な拠点を作ることを目的する“秋葉原クロスフィールド” の切り込 み隊長としてオープンしたダイビルの外観は、今の秋葉原に抱くイメージとは隔世の感があります が、ウォールウォッシャ- で照らし出された十分に天高の取られた空間と青色LED で演出された公 開空地は、これまでの秋葉原では体験できなかった空間を作り出しています。
現在の秋葉原は、つくばエクスプレスの開通、D-Akihabara という期間限定ミュージアムの開催な ど積極的な開発がなされています。ダイビルがもたらした風景からは、新しい秋葉原の姿が垣間 見えるようです。
エスカレータで2階へ上がると、眼前にはほぼ同じレベルにある電車のホームに山手線が入ってき たり出て行ったりという風景が展開します。その奥には、大きなボリュームを持ったヨドバシカメラ が控えますが、そのほかに空に向かってそびえる物がまだなく、電車のホームは暗い空を背景に 従えてドラマチックな景を演出します。この風景は、今回の街歩きを通して発見した素敵なシーン のひとつです。

ダイビル周辺の見学の後、探偵団は3つのグループに分かれ、電気部品専門店がひしめき合う一 角に足を伸ばし、グループごとにおもしろいヒカリモノの探索に出かけました。( そこで入手したヒカ リモノは11月17日に行われたサロンにて発表されました) 。
このような電気部品専門店には、掘り出し物がどこかに眠っているのではないかというわくわく感が あります。雑然とした宝の山から自在にいろいろと取り出しては、気軽に質問にも答えてくれるお 店の主とのやりとりのおもしろさも、このマーケットの魅力ではないでしょうか。(村岡桃子)

■世界一のオタクビル街
電気部品専門店を後にした探偵団は3つのグループに分かれ、中央通の電気街を調査しました。
この通りを彩っている巨大看板をつけたファサードを巻物にするため連続した画像を記録していきま した。オタク街(電気街) をエレベーションで見ると、広告が非常に多いということが分かります。 個人が主役の街であり、個人の力で、秋葉原という文化を創りだしてきたためでしょうか。さまざ まな大きさの広告が、照明により個々の存在を示しています。同時に、秋葉原という街の趣味や 志向がそのまま表現されてもいます。
照明手法としては、オタクビルのトップに大きなネオンの広告があり、ファサードには建物の顔を塞 いでしまうくらい長い広告が上下からライトアップされています。もっとも光が溢れていたのは低層部 であり、ここには無駄という以外当てはまらないような照明手法が使用されていました。建物の入 り口付近には商品が高密度で並べられ、それと同様に蛍光灯も高密度に並べられて輝いていまし た。そこは昼間のように明るく自然と店内に引き込まれるような感じになり、通り全体で見ると低層 部分は光の帯が輝いて見えます。
しかし再開発されたビルにはこのような光が存在せず、小綺麗で落ち着いた雰囲気でした。 オタク文化であるこの街に、再開発により志向の違ったIT 関連の施設や高層マンションが並置され ることは、世界一のオタク文化にどのような影響を与えるのでしょうか。また、光環境が今後どの ように変化していくのかとても楽しみです。 (山本幹根)